2011年8月17日 19:49
渡辺謙インタビュー 世界から求められる俳優、異なる脚色への挑戦
(Photo:cinemacafe.net)
2003年の『ラストサムライ』の出演を機に海外へ活躍の場を広げ、日本が世界に誇るハリウッドスターとして注目を浴び続ける渡辺謙。『バットマン ビギンズ』、『SAYURI』、『硫黄島からの手紙』、『インセプション』に続く海外作品として彼が選んだのは、70年前のアジア──太平洋戦争開戦前夜の上海を舞台にした映画『シャンハイ』。世界有数のメガシティである上海が“魔都”と呼ばれた時代を背景に、ある大きな陰謀に巻き込まれていく男女の運命が描かれるサスペンス大作だ。「どんな社会状況であっても、根底にはパーソナルな愛憎、嫉妬、共感が必ずあるもの。そんなドラマ性に強く惹かれた」と作品への想いを紐解いていく。
共感できなかった役柄も、演じて気がつく共感部分
渡辺さんが演じるのは、海軍と空軍を掌握するタナカ大佐。ジョン・キューザック扮する主人公・米国情報部諜報員ポールの捜査につきまとう影のある役柄だ。脚本を読んだときは「まったくタナカに共感できなかった。
僕自身は去っていく女性をあれほど追いかける人間ではないですからね」と苦笑いする。
「ただ、共感はできないけれど、役を作っていく途中でタナカはあるジレンマを抱えていると気がついて。