【シネマモード】クールビューティが魅せる、最上の美に惚れる『ミラノ、愛に生きる』
51歳とは思えない隙のない美貌は、“高嶺の花”のような近づきがたさもあります。公私ともに極めてクールな印象ですが、そんな彼女が、ふっと笑うと、「あ、笑った…」と意味もなくこちらまで嬉しくなってしまう。いい女って、そんなものなのでしょうか。
そんな彼女がいつにも増して、ぴたりとはまっていたのが新作『ミラノ、愛に生きる』。友人のルカ・グァダニーノと製作に11年をかけて練り上げた作品で、社会という場で作られた考えからの超越がテーマになっています。ティルダが演じるのは、ミラノの富豪・レッキ家の後継者候補に見初められ、イタリアに渡ったロシア人のエンマ。彼女が息子の友人(料理人)と出会い、恋に落ちたことをきっかけに本当の自分へと戻っていくまでを描いています。
冒頭のエンマは裕福に暮らし、二人の子供に囲まれ一見恵まれているようではあるものの、表情が乏しいのが気になるところ。
そんなエンマのワードローブは、ラフ・シモンズがデザインするジル・サンダー。来日したティルダ曰く「ヒッチコックやルキノ・ヴィスコンティ、パゾリーニといった作家が作り上げたような、エモーショナルで官能的な作品を目指しました。そこで重要になったのが、ジル・サンダーでした」