【シネマモード】クールビューティが魅せる、最上の美に惚れる『ミラノ、愛に生きる』
とのこと。本質的で、シンプル。それなのに表情豊か。エンマに寄り添いながらも、彼女の抑えた感情を補足するかのような美しいシルエット、カラフルな色合いの洋服は、役柄と相まって、それは魅力的にエンマという女性を縁取っていました。ジル・サンダーの服と合わせているのは、パールのネックレス(ブラックパールのロングネックレスは特にかっこいい!)や、大ぶりで質のよさそうなダミアーニのジュエリー、そしてエルメスのバッグ。バーキン、ケリー、マサイなどが、あくまでもカジュアルでエレガントな日常使いのバッグとして登場。貴族を筆頭とする特権階級の人々だけに許された金銭的、精神的余裕を感じさせる使い方を見るにつけ、これが正しいエルメス使いというものか…と感心してしまいました。当然、ティルダは素のままでお似合い。
物も使い手を選ぶものなのですね。
さて、服の話に戻りましょう。ティルダが言っていたように、ジル・サンダーの服は本作で重要な役割を担っていますが、実は、エンマがそれを脱ぎ捨ててからも印象的です。上流階級というしがらみを上質な服を脱ぐように捨て去り、年下の恋人のシャツをまとって別人のような姿を見せるエンマ。その時の美しさは、神々しいほど。