【シネマモード】“ウェストマーク”が美のポイント、映画×クラシカル・ファッション
ジャーナリスト志望で、黒人メイドたちの現実を伝える本を書きたいと願う彼女だけは、バービー人形のような服を“着せられる”ことに疑問を持っている様子がファッションからも伺えます。ファッションにさほど関心を示していない彼女が選ぶのは、ふんわりとしたフレアスカートよりはタイトスカート。花柄の華やかなワンピースよりは、無地のそっけないワンピース。髪もまとめず、ナチュラルなカールを生かした無造作ヘア。おしゃれに明け暮れるよりも、もっと大事なことがあると考えている彼女らしいファッションで、もうひとつの60年代ファッションを表現しています。
当時、女性なら当たり前だったウエストマークについては、「PAN AM/パンナム」の中に面白いエピソードが登場しています。クリスティーナ・リッチ演じるヒロインは反抗的な乗務員なのですが、その性格を象徴するのがガードル騒動。当時の乗務員には着用規則まであったというガードルを、彼女が拒否したというエピソードが登場するのです。
乗務員に対し、管理者は「ガードルは女性のたしなみです」ときっぱり。実際に、当時のパンナムでは着用が義務付けられていたと、本作のエグゼクティブ・プロデューサーで元パンナムの乗務員だったガニス女史は証言しています。