綾瀬はるかインタビュー 常に信じ続ける「“技”ではなく“感情”」の芝居
これはかなり難易度が高そうだが、綾瀬さんは「同じ人物なんだけど、ちゃんと切り離して意識できたので、どの淳美も楽しんで演じられたと思います」と笑顔で語る。「メイクや衣裳でも分けているし。現場でまずやってみて、監督に『このぐらいですか』と確認をしながら、時には『もうちょっと悪魔みたいな感じで』と言われたり(笑)」。
毎日ワクワクしながら撮影していたとふり返る。
「監督の演出が楽しみでした。特に意識下という設定の場合、“何でもあり”の世界なので、抑えたトーンだけど自由な感じなんです。急に怒ったり、笑い出したり。それが面白くて、すごく楽しんで私はやっていました」。
黒沢監督の演出は、動きに関する指示が細やかだ。
「『ここでふり返って、歩き出して、ここでお茶を飲んで、そのセリフ言った後に全部一気に飲んでください』とか。監督の中でしっかり動きが決まっていて、それだけははっきりと。例えば、すごくジグザクな動き方を指示されたとして、実際やってみると、すごい感情が乗るんですよね。なるほど!みたいな(笑)。緻密な計算をされているのか、何か感覚で捉えられているのか。動きが付くことによって、それぞれの淳美の違いがさらにはっきりしてくるんです」。