綾瀬はるかインタビュー 常に信じ続ける「“技”ではなく“感情”」の芝居
実は綾瀬さん自身は、撮影中に自分から提案することはあまりないという。
「これが自分に足りないところでもあるんですけど」と分析しつつ、「発信型のお芝居をする方、アドリブでいろんなことをやられる方もいらっしゃいますが、私は完全に受け身のお芝居ですね」と語る。「監督が望む形にできるだけ近づけたいと思っているから、自分の意見とか思考が入るのが好きじゃないんです。できるだけ、いままでの自分にない引き出しを開けてもらうことに喜びを感じるタイプだから」。
そんな思いで演じ続ける中、監督の言葉で印象深かったのは「やっぱり“技”ではなくて“感情”。何が伝わるって、それしかないと僕は思うんですよね」というものだった。「ああ、やっぱりそうなんだと思って。私自身、いままでそれを大事にしてやってきたつもりだけど、改めて黒沢監督の言葉を聞いて、基本的に淳美がどういう感情だったのかということだけを大事にして演じました」。
3人の淳美がいる。仕事の不調に苦しみ、がんじがらめになっている淳美、自分が自分でないような感覚に囚われている淳美、そして命がけとも思える強い愛を浩市に注ぐ淳美。どの淳美に一番共感するかと尋ねると、「全部にありますね」