【インタビュー】リリー・フランキー×安藤サクラ 憤りと切なさと母性…そして社会に蔓延する「絆」
リリー:是枝さんからは「ずっとデクノボウのお父さんでいてください」って言われました。みんな、少しずつ成長していくのに、お父さんは変わんない(笑)。
安藤:“せつなおっちゃん”ですよね(笑)。こんなにおっちゃんって切ないんだなぁ…って。映画を観て、こんなにおっちゃんが切なく思えたのは初めてです。
リリー:いや、おっちゃんの切なさじゃなくて、子どもたちの成長に着目してください(苦笑)。
――成長出来ないところが切ないですね。後半、ひとつの事件をきっかけに家族が危機に瀕しますが、息子の「ごめんなさい。
僕が…」という言葉に対する、父の言葉は「お前のせいじゃない」でも「これでよかったんだ」でもなく「いつもうまくはいかねーよ」で…(苦笑)。
リリー:的外れなことしか言えない(笑)。『ついでにとんちんかん』みたいですね。撮影が始まる前に是枝さんとやり取りしてて「あぁ、このお父さんは、いつも何か足りないくらいの感じでいいのかな?」って。家にいても新聞とか読んでるような気配は全くないし…。
安藤:絶対に読まないでしょうね(笑)。
リリー:家ではあんな感じで明るくおしゃべりなのに、仕事先の工事現場でもひと言もしゃべんないし。