2019年11月6日 12:30
【インタビュー】ウィレム・デフォーと芝居の45年「役になる それこそが美しい瞬間」
ある人は、コワモテの犯罪捜査官や殺し屋を思い浮かべるかもしれない。ある人は、お茶目な挙動を見せる彼を思い浮かべるかもしれない。はたまた、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』の中で優しさと無力を行き交う姿が記憶に新しい人も?ウィレム・デフォーは長いキャリアにおいて、様々な役と化してきた。
目の前にいる彼は、透き通った瞳を持つ朗らかな人。『永遠の門ゴッホの見た未来』のジュリアン・シュナーベル監督が、フィンセント・ファン・ゴッホの純粋な魂を彼に託そうとしたのも頷ける。
画家でもある監督から1対1でのレッスン
とは言え、あまりにも有名な画家ゴッホは謎めいた人物でもあり、彼に関する逸話それぞれに諸説がある。そんな人物を演じるうえで大切にしたものは何か。
「やはり、彼と絵画の関係性だね。
人生の中心に、なぜ絵画があったのか。ゴッホは自分こそが絵画であると捉え、絵を描く行為に共感しきっていた。絵を描いている瞬間の彼は幸せで、完全だったんだ。気持ちが乱れたときは、自然の中で絵を描いた。様々な不安を抱えてはいたけれど、そうすることで解き放たれていたんだ」。
「演じる以上、僕自身もそうなる必要があった」