くらし情報『『ミッドサマー』と『ヘレディタリー』の深い繋がり―「絶望の叫び」と「疎ましさ」からアリ・アスター作品を読み解く』

2020年3月3日 18:00

『ミッドサマー』と『ヘレディタリー』の深い繋がり―「絶望の叫び」と「疎ましさ」からアリ・アスター作品を読み解く

つまり、ここでも対人関係において多くの人が抱きがちな、弱ってる者に対しての「疎ましさ」がテーマとして浮上してくる。そして、精神的に弱ってる者に対しての思いやりが欠如している者は、アリ・アスター作品においては必ず最後に手酷いかたちで罰せられることになる。そこに、自作を「パーソナルな内容」と言いきるアリ・アスターが抱えている、復讐心や自罰意識を指摘しないわけにはいかない。

そして、三つめのポイントとして提示したいのは、スウェーデンに飛び立つ前のニューヨークでの24分と、ホルガ村に到着してからの100分余りの時間に挟まれた、12分間のスウェーデン国内のホルガ村までのクルマでの移動とドラッグ体験のシーンの重要性だ。前作『ヘレディタリー』以上に全編おびただしい数の過去の映画のレファレンスに溢れている『ミッドサマー』だが、ここで注目すべきはパク・チャヌクの復讐三部作の最終作『親切なクムジャさん』(2005年)のオマージュである、移動中の車を捉えたカメラが途中で回転して逆さまになるシーンだ。その後、ホルガ村出身の友人ペレの地元の仲間からマリファナをすすめられて最初は躊躇していたダニーだが、結局は謎の薬物が入ったティーを飲んで、白夜の最中にバッドトリップして長時間意識を失う。

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