くらし情報『『ミッドサマー』と『ヘレディタリー』の深い繋がり―「絶望の叫び」と「疎ましさ」からアリ・アスター作品を読み解く』

2020年3月3日 18:00

『ミッドサマー』と『ヘレディタリー』の深い繋がり―「絶望の叫び」と「疎ましさ」からアリ・アスター作品を読み解く

の関係に置き換えることができる。両者とも、生前の妹を、自分の楽しい学生生活の邪魔をする鬱陶しい存在として疎んじているところまで同じだ。つまり、インタビューで「両作品とも、自分にとってはパーソナルな内容で、自分の分身となるようなキャラクターがいます」と語るアリ・アスターは、長編デビューしてから2作続けて「疎ましく思っていた妹の死」についての物語を作り続けているわけだ。『ヘレディタリー』と『ミッドサマー』の共通点はそれだけじゃない。中盤に「絶望の叫び」がある『ヘレディタリー』と、序盤に「絶望の叫び」がある『ミッドサマー』、その作中での時間配分がまったく異なるので見落しがちだが、二つの作品はほとんど同じ構造を持っている。『ヘレディタリー』ではラストのシークエンスで、家族で唯一生き残った兄(その境遇も『ミッドサマー』の主人公と同じだ)がある儀式に立ち会うことになるわけだが、作品が始まってから24分でアメリカからスウェーデンに飛び立ち、そこから陸路を経て36分でホルガ村に到着する『ミッドサマー』は、その後100分余りの時間を費やして、『ヘレディタリー』ではラスト数分で終わった儀式の様子をひたすら事細かに描いていく作品と言ってしまうこともできる。

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