あなたも堕ちるチュ・ジフン…緩急自在の演技で示す自らの真価
の1つにも選ばれている。チュ・ジフンは陰謀に巻き込まれながらも、残酷で容赦のない極限下の状況で、“自らが守るべきは民である”とたくましく成長していく世子(セジャ)=皇太子イ・チャンを熱演。無敵の“ヒーロー然”としたプリンスではなく、恐怖や葛藤もにじませながら繊細に、かつ力強く演じている。王都に帰還するも、大混乱と化すシーズン2では、「ゲーム・オブ・スローンズ」みもパワーアップし、本当に恐ろしいのはゾンビよりも人間の強欲だと改めて示してくれる。また、『エクストリーム・ジョブ』で笑いを、『7番房の奇跡』では涙を誘ったリュ・スンリョンが強烈な悪役に徹し、ペ・ドゥナが奇病の謎を追う聡明で自立した医女ソビを演じるなど、脇役陣も魅力的だ。
どれほど現実離れしたファンタジー世界であっても、そのキャラクターに尊厳や気高さを吹き込み、それでいて茶目っ気まで溢れさせるのがチュ・ジフン。ポーカーフェイスに隠された、逆境を反動にしてきた気骨さと適度に力の抜けた柔和さを自在に操りながら、どんな複雑なキャラクターも自分のものにしてしまう。エリート弁護士や検事でも、コミカルな自由人でも、その人物に計り知れない奥行きを持たせられるのは彼が演じればこそ。