『記憶の技法』監督が明かす石井杏奈&栗原吾郎の印象「二人ともなかなか心を開いてくれず…」
と話し、さらに「“残された人たち”の物語であることにも惹かれました。たとえば事件が起きると、犯人や被害者の事件に至った経緯などはよく語られますが、それ以外の残された人たちの声は聞こえてきません。残された人たちは、大きな喪失や辛い記憶を抱えながら、そのことにどのように向き合っていくのか?ということを描きたいと思いました」と本作への思いを明かす。
そして本作の主人公で、両親が本当の親ではないという衝撃の事実に直面した女子高校生・華蓮を演じた石井さん、華蓮の旅のパートナーとなり、自らも心に葛藤を抱える孤独な少年・怜を演じた栗原吾郎について印象を聞くと、「石井杏奈さんは、『ソロモンの偽証』などで見て何かを抱えた役を体現できる人だという印象があり、彼女なら華蓮という難しい役を演じられるに違いないと思いました。栗原吾郎さんは、お芝居の経験はあまりなかったのですが、面接の時の少し感情が抜けたような喋り方が印象的で、原作の怜のような雰囲気を纏った人だと感じました」とふり返る。撮影の序盤は、「不器用で頑なな監督が、不器用で頑なな主役の心をずっとノックし続けているような状態でした」と言い、「実は最初、二人ともなかなか心を開いてくれず、苦労しました。