【インタビュー】大泉洋がいま最も求められる理由 “オモシロ”と“怪演”のはざまを渡り歩く男の矜持
尺がないでしょうからね。その部分での難しさはあるのかなと感じていて…」というもの。“エンターテイナー”としてのこの男のすごさが垣間見える。
今回、大泉さんに話を聞いたのは、主演映画『騙し絵の牙』について。出版界を舞台にした小説の映画化だが、本作が特殊なのは原作者の塩田武士氏が小説の執筆段階で、大泉さんにあてがきする形で主人公・速水を作り上げたということ。
映画やドラマの脚本執筆の段階で、出演俳優をイメージしてのあてがきはよくあるが、小説で、しかも執筆前の段階で作家が公言する形で、特定の俳優にあてがきするというのは非常に珍しい。わざわざ、あてがきされたキャラクターということは、この速水という男は、さぞや大泉さんそのままなのであろうと思いきや…。「速水さんという人はやりたいことが明確にあって、そこに向かって忖度なく、どんな手段を使っても突き進んでいく人なんですけど、僕にはそういうところが全くない(笑)。
ものすごく周りばかりを見てしまう人間なので…。『これ、やりたいけど周りに迷惑かかるよな』って(苦笑)。速水さんのように策を講じて…ということも全くできないですし」
自信をイメージした役なのに「一番僕らしさを出せなかった役」