【映画と仕事 vol.14】史上最大級の“死んでいる”怪獣をどうつくるか? “バカバカしさ”を求めた三木聡監督に造形師・若狭新一が示した答え
東宝のスタッフルームに7~8人のデザイナーがいて毎日、絵を描いては、川北さんがチョキチョキとそれを切って、モンタージュ写真のように切り貼りして、それをクリーンアップする形でデザインを決めていくというやり方をされていたそうなんです。
僕が93年の『ゴジラvsメカゴジラ』の怪獣造形に参加したときは、あまりに時間がなくて、撮影開始の3週間前の段階でデザインがまだ決まってなかったんです。(撮影前の)怪獣の制作期間が3週間ほどしかない状況で、このままでは間に合わなくなってしまうということで、決まっている部分から、粘土で怪獣の模型を作っていくというやり方をしたんです。今回、まるっきりそれと同じアプローチで、怪獣が死体となって倒れているさまを粘土で作っていき、それから細かい部分…ポーズのディティールや表情などを三木さんのリクエストに沿って制作していきました。
三木さんが一貫しておっしゃっていたのが「僕(三木監督)の作品なので、バカバカしい感じにしてほしい」ということ。もちろん、リアリティが必要なのは当然なんですが、それに加えて「バカバカしさ」がほしいと。例えば、死後硬直によって足がポンっと天に向いて伸びているような姿勢も三木さんからのリクエストでした。