【映画と仕事 vol.14】史上最大級の“死んでいる”怪獣をどうつくるか? “バカバカしさ”を求めた三木聡監督に造形師・若狭新一が示した答え
この映画に登場する怪獣、映画の中では“希望”と名付けられることになりますが、基本的に死んだ状態で登場するわけです。これまでの僕の仕事で「怪獣の死体を作る」というのは、あまりないことでした。映画全編を通して「死んでいる」わけですから、そのありよう――どういう姿勢、デザインで死んでいるのか? というのを考えるところから始めました。
――三木さんから特にリクエストや絶対にゆずれないポイントなどは伝えられたのでしょうか?
僕が入る前の段階で、佛田さんが三木さんに「どんな怪獣が良いんですか?」と聞いたところ「昔の恐竜図鑑に載っていた恐竜のような怪獣がいい」とのことでした。佛田さんが三木さんにも見せたという昔の恐竜図鑑の写真をいくつか見て、それが“怪獣化”したものということでデザインを考えていきました。
アプローチの仕方としては、僕は1993年以降の「平成ゴジラ」シリーズの敵怪獣(※メカゴジラ、スペースゴジラ、デストロイアなど)を担当しているんですが、その頃と同じやり方でした。
当時、東宝の特撮を束ねていた川北紘一さんという方がいたんですが、この方もなかなかデザインが決まらない方だったんですね(笑)。