2023年5月22日 07:00
【映画と仕事 vol.21】藤井道人監督が考えるプロの映画監督――「運」と「縁」と「恩」に導かれたジャンルレスな映画づくり
映画業界で働く人たちに仕事の裏側やその魅力についてじっくりと話を伺う【映画お仕事図鑑】。今回、ご登場いただくのは、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』、興行収入30億円の大ヒットを記録した『余命10年』など近年、次々と話題作を世に送り出している藤井道人監督。最新作『最後まで行く』(5月19日公開)では、岡田准一と綾野剛をメインキャストに迎え、同名の韓国映画のリメイクに挑戦している。
スマートフォンひとつで「映画を撮る」こと自体、誰にでも可能になったいま、藤井監督が考える“プロ”の映画監督の仕事、映画づくりの醍醐味とは――?
映画監督への道のりは「消去法で選んだ進路」から
――子どもの頃、どんなふうに映画と関わり、どういった経緯で映画監督を志したんでしょうか?
地元の映画館は近くにあったんですけど、そんなに足しげく映画館に通ったという感じでもなく、映画を教えてくれたのはTSUTAYAでしたね。ビデオやDVDをレンタルして観るのが僕にとっての映画体験で、お金もそんなになかったので、映画館に行くのは特別な時だけでした。
学生時代はずっと剣道しかやってこなかったので、高校3年生の進路選択の時、紆余曲折あって、英語と国語だけで受験できる「映画学科」