くらし情報『『君たちはどう生きるか』作品評 理屈を超越した「漫画映画」への回帰』

『君たちはどう生きるか』作品評 理屈を超越した「漫画映画」への回帰

(高畑勲「『漫画映画の志 『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』」2007年)その高畑監督は2018年4月5日に死去した。

そして、「懸命に動き回るほど、周囲からは滑稽に見える」キャラクターは、アニメーター大塚康生が『少年猿飛佐助』(1959年)で描いた夜叉姫の最期が元祖であったといわれる。大塚は宮崎監督に作画の基礎を教えた恩師であり、盟友であった。大塚は2021年3月15日に死去した。

本作は単に宮崎監督個人の総括でなく、歴史の産物である。宮崎監督の言葉を借りれば、文学・絵画・映像のジャンルを超えた「通俗文化の巨大な流れ」の一部だ。

本作を「漫画映画」への回帰と考える根拠は、共に歩み続けた先達の遺志が継承されていると感じるからでもある。

高畑は「楽しみつつ考えさせる」絵作りと物語を同時に追求する稀有なアニメーション監督であった。
大塚は、縦横無尽に空間を飛び回る活力あふれるアニメーションを描く職人だった。二人共『やぶにらみの暴君』に魅せられ、宮崎監督ら後輩を巻き込んでその継承と発展の方法を模索した。

今回は宣伝も取材も皆無なので、現時点では宮崎監督の去就も白紙だ。「漫画映画」に絶滅の悲壮感は似合わない。

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