くらし情報『『君たちはどう生きるか』作品評 理屈を超越した「漫画映画」への回帰』

『君たちはどう生きるか』作品評 理屈を超越した「漫画映画」への回帰

「今ファンタジーを僕らはつくれません。子どもたちが楽しみに観るような、そういう幸せな映画を当面つくれないと思っています」

(宮崎駿著『本へのとびら──岩波少年文庫を語る』2011年)

この発言の2年後、『風立ちぬ』(2013年)が公開された。『風立ちぬ』は、確かに「子供向けのファンタジー」ではなかった。以降、本作までの10年間に、宮崎駿監督が最も精力的に取り組んだ仕事が三鷹の森ジブリ美術館の企画展である。

特に「クルミわり人形とネズミの王さま展」2014~2015年)「幽霊塔へようこそ展」(2015~2016年)は、その規模・内容に於いて圧巻であった。この二つの展示に関わる作業が実質的に本作を準備したと考える。

『君たちはどう生きるか』作品評 理屈を超越した「漫画映画」への回帰
筆者私物「クルミわり人形とネズミの王さま展」、「幽霊塔へようこそ展」パンフレット
宮崎監督は2013年にE・T・A・ホフマンの「クルミわり人形とネズミの王さま」(1816年)を初めて読んだという。イメージの洪水と言うべき小説で理屈では読み解けない部分が多く、その魅力の解析に宮崎監督は頭を悩ませた。
しかし、それらの整合性よりも、まろやかなイメージそのものを楽しむことの重要性に気づいたという。

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