2023年9月1日 12:00
【インタビュー】杏×呉美保監督、みんな違うからこそ意識したい“寄り添う”ことの大切さ
呉監督:最初にお話をいただいた当時、下の子が0歳だったんです。そんなときに映画なんて作れるのかなと思いました。でも、ジェンダーギャップというテーマを聞いた時に、「今、映画なんて撮れるのか」と思っていること自体が、まさにジェンダーギャップなんだと気づいて。上の子は5歳(現在8歳)で、つまり5年間も長編映画を撮っていなかったんです。今頑張って作らなくて、私はいつ頑張るんだと思いましたね。
――杏さんへ。一週間の日々が繰り返される中で、頑張りつつも、日を追うごとに徐々に疲弊して行く母親の様子が、強く心に訴えてきました。
杏:あれは、子を育てる者が毎日行っている作業であり、どれだけ疲れていてもどれだけ調子が悪くても、仕事が忙しくても必ずやらなければいけない最低限の行為。
もっと手厚くやっている方もいっぱいいると思います。そんな様子を淡々と作業として映像で積み上げていくと、現実を描けるのかなと思いました。
――確かに力強いリアリティがありました。杏さん演じるシングルマザーと子供たちの日々が積み上げられていくなかで、助けがない親たちが直面している苦労、言葉にならない戦いのようなものが凄く感じられました。