【インタビュー】黒島結菜が明かす、難役への挑戦を可能にした「現場への信頼」
監督が息遣いを大切にされていたので、別で音だけ録音することもありました。この作品ならではだと思います。
――原作への敬意も感じつつ、映像でなければできない表現を見事に使った作品だと感じました。黒島さんから見て、ここは映像作品『夏目アラタの結婚』ならではの面白さだとどんなところで感じましたか。
カット割りもそうだし、音楽もそうですね。音楽は昔のものも使われていたし、物語の疾走感や、その時のムードを後押しする、とても素敵な演出で、これも映像ならでは。漫画で、真珠が面会室のガラスを割る、壁と天井がぎゅっと迫ってくるなど、キャラクターの心理状態を表わすシーンがありましたが、それがちゃんと映像で表現されたところも凄いと思いました。原作へのリスペクトをすごく感じる映像づくりだと感じます。
観た方が自分なりにジャンルを見つける作品
――完成版を観てどう思われましたか?
自分で演じたものなのに、自分じゃないような感じもするし、すごく不思議な感覚を覚えました(笑)。確かに自分で演じたんだけれども、当時のことをあまり詳しく思い出せないというか、覚えてないというか。本当に必死すぎたんですね。
――グロテスクな表現で人間の闇の部分を描きつつ、その中から人間の強さや美しさ自由さのようなものが描かれていた気がします。