くらし情報『女の節目~人生の選択 (8) vol.8「初めての、スポットライト」【14歳】』

2014年12月19日 16:00

女の節目~人生の選択 (8) vol.8「初めての、スポットライト」【14歳】

本音を申せば、子供の頃から極度のアガリ症なのである。とにかく本番に弱く、いくら練習しても人前で実力を発揮できたためしがない。学芸会ではたった一つの台詞をトチるし、ピアノの発表会ではうっかり押さえた不協和音に硬直するし、そのことにいちいち凹んで今なお立ち直れていない。自分を実物以上によく見せようという邪心が強すぎるのだろう。つねに人の目が気になって、無心で役を演じきるとか、観客に身を委ねて心を裸にするとか、そんなことがうまくできないのだった。

誰の目も及ばないところでなら、アガらずに物事に没頭できる。表舞台がうまく運んで熱狂に包まれるその裏で、スーッと冷静な俯瞰視点をもって全体を把握する瞬間が訪れる、その感覚が好きだった。演出スタッフならまだしも、ロックバンドとか、舞台役者とか、明らかに向いてないよね。
と、自分自身をスーッと俯瞰できるようになった。

選ばなかった、選べなかった、その「節目」の先はわからないが、英雄に自己を同一化させるような感覚を、中一で抱いて、中三で捨てたのだ、というふうにも解釈できる。同じものになりたくてステージへ手を伸ばすんじゃないんだな。自分とは違うものだから、違うものとして、さらに憧れが強くなるし、もっと欲しくなるんだ。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.