蒼井優、映画デビュー20年目の現在地「人生は楽しいほうが絶対いい」
ニュアンスで語ることが多くて「なんか」とか「あの」とかでだいたい表現できる。話している内容が本心ではなくて、本心が出るのはちゃんと台本にあるのかアドリブなのか分からないようなセリフだったりする。けれど、今回のセリフ回しのようなものは、言っていることが大事。
――あの感じは黒沢監督と相談して?
そうです。監督が少し違和感のある感じにしたいとおっしゃっていました。「とても難しいと思いますけど、頑張ってください」と最初に言われました(笑)。
――蒼井さんだから成立しえたのだと、とても感嘆しました。
でもやりすぎてしまうときもあって、そうしたときは監督に「違いますよ」と言われてました(笑)。
――黒沢監督はどんな方ですか?
特徴的だなと思うのは、カメラワークがなんとなく決まっていることです。監督のなかには、役者から生まれるものを撮っていく方が結構いらして、それも私は好きですが、黒沢監督の場合は映像表現がまず先にある。役者に「こう動いてほしい」「こう撮りたい」とリクエストして、その中身を埋めるのは役者の作業だと。そこが特徴的だし、私が黒沢さんの好きなところのひとつです。
○■聡子として、浮遊していた
――1940年の神戸が舞台でした。