美波にとって、男はいつも、「去っていくもの」だった。いつかは必ず、離れていく。別れがある。だから、過ぎ去っていくものなのだといつしか思い込むようになっていた。
「ずっと一緒にいよう」「いつまでもそばにいて欲しい」「愛してる」。それらの、継続的な愛情を誓うような言葉は、美波を喜ばせ、今度こそと思わせ、そのぶん、男が去っていったあとには、あまりにも大きな喪失感を残した。
美波は、そういう言葉がだんだん嫌いになっていった。どうせ守れない、その場だけの言葉なら、言わなければいい。
その場では真実だった、と知ってはいても、男に去っていかれたあと、いつも思い出すのは「ずっと一緒にいよう」と言ったのに、ということで、あんなことを言うほど好きだったはずなのに、去っていかれるなんて、ということだった。
男に去っていかれたあと、美波に「愛された自信」なんかは残らず、ただ「自分はまた、何か失敗をしたのだ」「継続的に愛される魅力がないのだ」「一緒にいるのが嫌になるようなことをしてしまったのだ」としか思えなかった。
男たちが去っていく理由は、それぞれ違っていた。新しく好きな相手ができてしまったとか、「君とつきあうのに疲れた」