くらし情報『兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (31) カレー沢薫が偏愛する、ある猫の物語』

2015年10月6日 12:00

兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (31) カレー沢薫が偏愛する、ある猫の物語

そうこうしている内にスフィンクスは係員によって毛布を取られ、その姿を現した。それはライトセーバーよりも光り輝いていて、もしかして毛布がかかっていたのは、我々の網膜が焼けてしまわないための配慮だったのかもしれないと思った。そして、すぐにまたスフィンクスには毛布が掛けられた、むしろあのおっさんがいなかったら、小心者の私はスフィンクスの姿を見られなかったかもしれない。今思えば彼は神だったのかもしれない。
それがスフィンクスとの初邂逅であったが、数年後また同じような催しがあると聞いて、私は会場にはせ参じた、すると今度は「500円払えば好きな猫を抱いてツーショットが撮れる」というコーナーがあったのだ。目を疑った、5万の間違いではないかと。私は係員を捕まえ、その胸元に500円をねじり込み、スフィンクスを抱かせろと所望した。それがスフィンクスとの初めてのふれあいである。
一言でいうと温かかった。毛がなく、直接皮膚に触れるので当たり前だ。それはとても暖かく、今抱いているのは猫ではなく、生命そのもの、いや宇宙、コスモ…と思った。私がコスモを感じている間にさっさと写真を撮られ、スフィンクスはさっさとカゴの中に帰っていってしまったが、その写真は今でも宝物である。

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