2015年12月10日 15:00
抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (6) 中村正人プロマネに聞く(4) - かくして再挑戦できる軌道は見つかった
と言って、今村君が納得してくれて。そうやって観測する時間を少し犠牲にしたことで、やっと解が見つかったんです。
だいたい行けると思ったのは2013年8月ぐらいだったかな。そのあと計算を追及して、最終的な軌道ができあがったのが2014年1月ぐらいでした。
--それは大変でしたね。
中村: 最初は極軌道[*15]に入れようか、という話もありました。極軌道だと太陽の重力に引っ張られることがなかったから、こんなに難しくはなかったんですね。
でも極軌道に入れると科学観測ができない。
「あかつき」に搭載されているカメラの向きは固定されているから、極軌道に入るとそっぽを向いちゃうんですね。それに熱構造上、衛星を傾けてカメラを金星に向けてやる、ということもできない。
だから僕からは必ず科学観測ができる軌道に入れてくれと要請をして、それを実現するために、みんなさんざん苦労しました。まぁ、そんな簡単に入れられたらおもしろくないですよ(笑)。
○研究者の本能として、別の新しい研究課題を探す
--ところで、「あかつき」の後継機の検討などは始まっているのでしょうか。
中村: 今のところまだないですね。科学衛星なので、「あかつき」