くらし情報『カンヌ映画祭は、世界の批評の目に晒される特殊な場 『散歩する侵略者』黒沢清監督が振り返る』

2017年9月8日 10:30

カンヌ映画祭は、世界の批評の目に晒される特殊な場 『散歩する侵略者』黒沢清監督が振り返る

いろいろ考えたんですけど、概念とは何かってわかんないですね(笑)。

科学的には説明しないことにしました。ただ、重要な概念を奪われると、人はなぜかスッキリして解放されるというふうにしました。それがこの映画のルールだとなるべく早めに理解してもらえれば嬉しいです。「概念、もらった」と言われると、へなへなとなって涙が出ちゃった、そして自分の中が変わっている……という。

――演劇のお客さんはルールを飲み込むことに慣れているけど、映画だとまたもう少し観ている人の感じ方が違うかもしれないですよね。

そこは実写映画という表現独特のリアリティで、舞台やアニメとも違うところですよね。舞台だと日本人が外国の作品をやってもOKですから、羨ましいですよ。
映画で日本人が金髪のカツラつけて日本語をしゃべって、外国人という設定だったら、誰一人真面目に見ないですよね。わかっていても、「それは嘘でしょ」と指摘されてしまう。現実じゃないとわかっていながら、常に現実と見比べながら受け取られてしまう。

でもその分うまくやると、記憶の中で本当に現実に起こったんじゃないかという錯覚も起こせるんです。それが映画作りの醍醐味で、空から攻撃が来るシーンをうまく撮れば、本当にそんな攻撃が起こったように、その瞬間は迫真の表現として伝えられる。それが映画ならではの表現だと思います。

(C)2017『散歩する侵略者』製作委員会

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