くらし情報『白石和彌監督が映画界に問う、起用する側の責任とは? 中嶋しゅうさんの遺作から伝わる役者愛』

白石和彌監督が映画界に問う、起用する側の責任とは? 中嶋しゅうさんの遺作から伝わる役者愛

伝わっている人には伝わると信じたいですね。この映画は、最後に提示されるのが「愛」であるからこそ、観ていてつらくなるような展開を経ても残るものがあるんだと思います。いつか十和子が死ぬ時、きっと「良い人生だった」と前向きになるに違いない。そう思っています。

――ここ数年、著名人の不倫が連日取り上げられています。今回の「無償の愛」は世相に対する問いかけとも受け取れます。でも映画を観て、ほとんどの人は無意識に「有償の愛」を求めているんじゃないかと思ってしまいました。

本当にその通りだと思います。
「無償の愛」は容易ではありません。相手に見返りを求めず、すべてを捧げることができる人はなかなかいない。そうやって深く考えていくと、この作品に潜んでいる過激なメッセージが聞こえてきます。でも、なかなか「無償側」にはなれませんよね。

――そうですね。でも人として「無償でありたい」とも思います。

1万分の1ミリでも、そうありたい (笑)。そうなれれば、何かが変わるんじゃないか。
そんな予感がするんですよね。

――松坂桃李さん演じる水島。十和子をもてあそぶゲス男でしたが、自分都合で考えてしまうことは多かれ少なかれ、自分も含めて誰にでもあるような気もしました。

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