野村周平、動かなくても映える存在感&演技で『ちはやふる』支える
そんななかで、今回は、悩める太一の話も手厚く描かれている。
新の千早への想いを知った太一は、かるたにも受験にも身が入らず、悩んだ末、かるた部を辞めてしまう。
千早に次ぐ戦力が不在となり、苦戦を強いられる瑞沢高校かるた部だったが、問題児の新入部員たちと新たなチームワークを結びはじめる。
一方、太一は、なんだかワケありな周防名人(賀来賢人)の生き方に触れながら、自分の道を模索していく。
登場人物たちが、それぞれ自分の未来を切り開いていくキラキラした姿に、勇気づけられるうえ、かるたの試合の緊張感と躍動感も最高だ。
○"見つめる"役割を好演する野村
そんななかで、太一はつねに、千早といい周防といい、ちょっと突出したヘンな人物(要するに奇才)を見つめていく役割で、野村周平はその役割を完璧に遂行している。ただただじっと対象に目を凝らし、何か頭のなかで咀嚼しているような賢げな雰囲気を漂わせながら。基本は澄んだ瞳。
でもいざというとき、感情をたっぷり黒目に湛えて。観客のガイドでもあるこの役、存外、難しい役だ。観客の視点・代表なので、出しゃばり過ぎず、地味過ぎず、誰もに平等に好意と共感をもってもらわなければならない。