くらし情報『野村周平、動かなくても映える存在感&演技で『ちはやふる』支える』

野村周平、動かなくても映える存在感&演技で『ちはやふる』支える

2018年3月27日 11:30
 

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競技かるた、百人一首……とクラシカルなアイテムがこんなにもワクワクするエンターテインメントになるなんて! と驚かされた『ちはやふる』の完結編は、その名もずばり『ちはやふる -結び-』だ。

きっとこの“結”には、「完“結”」だけでなく、いろいろな“結”の意味がこめられているに違いないが、とりあえず、映画で主人公・千早(広瀬すず)たちは、高校3年生になり、高校生活最後の大会に挑むことになる。

メインの登場人物は3人。かるたの天才・千早と、彼女の幼馴染で、こどもの頃からかるた仲間だった太一(野村周平)と新(新田真剣佑)。新は幼い頃に引っ越してしまい、千早は、いつかまた新とかるたをやることをモチベーションにして懸命にかるたに邁進。その姿を、太一はひたすら見つめ、支えてきた。やがて新と再会して……というのが前作『ちはやふる 上の句/下の句』だった。

『-結び-』では、かるたを再びはじめた新と、大会で対戦するために、がんばる千早に対して、残された太一は、受験勉強も重なって、大きく心を揺らす。主人公は千早だが、<上の句><下の句>も含め、かるたを通してたくさんの登場人物が交錯し、その誰もがみんな魅力的な群像劇になっている。そんななかで、今回は、悩める太一の話も手厚く描かれている。

新の千早への想いを知った太一は、かるたにも受験にも身が入らず、悩んだ末、かるた部を辞めてしまう。

千早に次ぐ戦力が不在となり、苦戦を強いられる瑞沢高校かるた部だったが、問題児の新入部員たちと新たなチームワークを結びはじめる。

一方、太一は、なんだかワケありな周防名人(賀来賢人)の生き方に触れながら、自分の道を模索していく。

登場人物たちが、それぞれ自分の未来を切り開いていくキラキラした姿に、勇気づけられるうえ、かるたの試合の緊張感と躍動感も最高だ。
○"見つめる"役割を好演する野村

そんななかで、太一はつねに、千早といい周防といい、ちょっと突出したヘンな人物(要するに奇才)を見つめていく役割で、野村周平はその役割を完璧に遂行している。ただただじっと対象に目を凝らし、何か頭のなかで咀嚼しているような賢げな雰囲気を漂わせながら。基本は澄んだ瞳。でもいざというとき、感情をたっぷり黒目に湛えて。観客のガイドでもあるこの役、存外、難しい役だ。観客の視点・代表なので、出しゃばり過ぎず、地味過ぎず、誰もに平等に好意と共感をもってもらわなければならない。言ってみたら、白米。もしくは、水。嫌いな人はあまりいないし、ないと困る。

美味しい白米や水はありそうでなかなかないものだが、野村周平にはその素養がある。ドラマ『電影少女 -VIDEO GIRL AI2018-』でも、ビデオから飛び出してきたヒロインに振り回されながらも彼女をひたすら愛し、見つめる役を好演している。

見つめるキャラってほかに誰がいる? と聞かれれば、代表格はまず、事務所の先輩の佐藤健であろう。大ヒットした『8年越しの花嫁 奇跡の実話』もその系譜。次の朝ドラ『半分、青い。』もおそらくその役割を託されているように思う。

ほかに今一番、需要があるのは、高橋一生。大河ドラマ『おんな城主 直虎』や朝ドラ『わろてんか』などで、主人公をじっと瞳でお支えした。

それから、小栗旬。彼がブレイクしたドラマ『花より男子』(05年)は、ヒロインをまぶしそうに見つめるあの眼差しが魅力のひとつだった。

あの絶対主人公的な木村拓哉すら、二番手ながら熱狂的なファンがついた、ドラマ『あすなろ白書』(93年)では見つめるキャラで、メガネ越しの愛情深い瞳が女性ファンの心を鷲掴みしたものである。

彼らのように、瞳のちからで女の子を支える、騎士(ナイト)系の役ができる俳優は、伸び代があると私は思っているので、野村周平もこれからもっともっといろいろな役をやっていくことになるのではないかと思う。
○動いてよし、動かなくてもよし

さて、期待値の高い野村周平の『ちはやふる』の好演に目を見張るものがもうひとつあった。うつむき顔である。

もともと『ちはやふる』は“かるた”という競技の性格上、登場人物がうつむいている場面がやたらと多い。うつむいた顔は、重力がかかるので、若くないと対応が厳しく、お肌の下り坂を順調に下降中の私なんかは、千早や太一たちのどんなに頭を低くしても決してたるまないお肌がうらやましくて仕方ない(若くてピンとこない方も何年もしたらわかるときが来ると思います)。野村周平演じる太一は、かるた部を辞めてしまうので、その重力の刑から解放されるのだが、代わりに別の試練(?)が用意されている。

スマホである。

最近の映画やドラマは、コミュニケーションの手段がSNSになっていて、しゃべることなく、SNSでのやりとりのシーンが増えた。そうなると、やっぱりうつむいた顔が多くなり(スマホのせいでストレートネックになる人が増えているとか)、今度は、手元が映ることが増える。むしろ手元が大事になる。となると、演技のしようがなく、かるたで身体能力を見せつけたほうがいいのではないか、という状況でも野村周平は泰然と画面を保たせていた。

今後ますます、スマホによるやりとりが映画やドラマに登場せざるを得なくなるとしたら、野村周平のような、動いてよし、動かなくてもよしの俳優が求められていくだろう。

(C)2018映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社

■著者プロフィール
木俣冬
文筆業。『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)が発売中。ドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書『挑戦者たちトップアクターズ・ルポルタージュ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』、構成した書籍に『庵野秀明のフタリシバイ』『堤っ』『蜷川幸雄の稽古場から』などがある。最近のテーマは朝ドラと京都のエンタメ

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