永瀬正敏、岩田剛典を「ずっと応援」 役を超えて生きた『Vision』の絆
●岩田くんがかわいくてしょうがない
○100時間のOKテイクを2時間に
――河瀨監督はカットもスタートもかけないと伺ったんですが、そういう撮り方ならではの魅力や大変さを教えてください。
永瀬:撮影期間中はずっとその役で生きていかなきゃいけなくて、どこを撮られているのかもわからない。それはすなわち“人を演じる”という役者の原点にピュアに戻らせていただける。全てを永瀬から智に入れ替えて、持続しなければならないので、それは大変なことですが。岩田くんとの出会いも鈴として初めて映画の中で出会うんですね。90時間くらいOKテイクがあって、風景も入れると100時間弱にもなるところを、2時間にするのだから、作品に映っていないところの細かいニュアンスも、河瀨さんの世界観につながるのだとも思います。
岩田:100時間は、すごいですね。
永瀬:「その場で生きてくれ」という監督さんなので、最初はみなさん戸惑うんです。
僕も最初に『あん』という作品に出演したとき、一番はじめのシーンでカットがかからないので、口もとが動かないようにしながら樹木希林さんと「これまだ回ってるのかな」「回ってると思いますね」と言いながら撮影を続けました(笑)。