2019年2月21日 11:30
「意外な傑作」と評判!? 『トラさん』筧昌也監督に演出のポイントを聞く
映画を観てくれている方は、画面で起きていることをちゃんと読み取ってくれるだろうし、セリフで説明するのではなく、表情や背景を含めた映像で表現していきたいと思っていました。それもあり、全体的にスマートにしていったことで、上映時間も91分と短めになりました。90分だと気持ちが良かったから、ちょっと惜しかったです(笑)。
僕は映画を観るときに、どれくらいの尺か気になるタイプなんです。人は映画を観るときに作品とある種の”契約”をしている気がします。125分の作品と、90分の作品だと、観る前の心持ちが全然違うし、作品から持って帰りたいものの量や質も、多少変わってくるんだと思います。
――たしかに、91分と聞くと気負わず観ることができる気がします。でも、91分の中でも情報量が多い作品ですよね。
テンポも早めに、詰め込みましたからね。とにかく後半の心情シーンになるまでは、エンタテインメントのふりをしました。観客が考える前に、物語に巻き込んで行こうと話しながら作っていきました。
●”表現者としての矜持”を持っていた、北山宏光
――筧監督の『ロス:タイム:ライフ』も好きだったのですが、死ぬまでの猶予の時間を描くという点では、共通しているのかなと思いまして。