黒沢清、映画監督の“本当の仕事”「オリジナルは理想だがリスキー」
とかみんなもいろいろ考えてくれるわけです。だから、代わりの場所も自然と見つかる。それが、最初に予定していたところよりも良かったりするんです。
――まさに劇中の番組クルーとも重なりますね。
そうですね。映画作りも同じで、それが面白いところでもあるんです。
――ディレクター役を演じた染谷さんは、監督をイメージして演じたそうですね。
自分をそこまで反映させたつもりはないんですが、自分以外のディレクターが何をやっているのか、あまり知らないので(笑)。
○■オリジナル脚本で直面する恐怖
――監督は、不測の事態に直面しても動じない方だとも聞きました。経験を積んで、次第にそうなっていったんですか?
もちろん、経験によるところは大きいと思います。でも、動じていますよ(笑)。結果的にうまく解決されている……といいますか。そうやって何となく、うまくいくもんなんですよね。急遽変更があっても、あとで見返した時に「これはえらくいいじゃないか!」と盛り上がることもあるので(笑)。それを経験すると、どんなことがあってもわりと気楽でいられます。
――前田敦子さんは、監督からの指示が「こうしてください」ではなく、「ここは必要ないです」