義務? 慣習? トラブルを招くこともある「敷金」や「礼金」はなぜ必要?
新しい住まいに入居するとき、借り主は貸し主に対し、家賃のほかに「敷金(しききん)・礼金(れいきん)」を支払います。なぜ、それを支払う必要があるのでしょうか。これは法律で決まっている義務なのでしょうか。「快適で安全な一人暮らし」をテーマに活躍する不動産アドバイザーで宅地建物取引主任者である穂積啓子氏にお話をうかがいました。
■敷金返還ではトラブルが多発
――「敷金」とは何か、について教えてください。
穂積さん:敷金とは、賃貸住宅の契約時に、借り主が貸し主(家主)に対して次の2つの事態に備えて支払う金銭のことです。
1.借り主による家賃の支払が滞ったとき
2.借り主が退去するとき、修繕費用が高額になって支払えなくなったとき
貸し主は、借り主が家賃を滞納したとき、この敷金を持って不払い分をまかないます。2の修繕についても同様です。
関西など、地域によっては「保証金」とも呼ばれますが、同じことです。金額は、地方、地域などによって違いますが、家賃の1~3カ月分が一般的です。
――敷金は、退去時に戻って来るのですか。
穂積さん:借り主が家賃をきちんと支払っている、故意や過失による修繕が発生しない場合は、敷金は原則的に全額返金されます。