D子はそもそも大のプロ野球好きで、内心は芸能活動を続けていく中でプロ野球選手と出会い、結婚できれば御の字だという、リアルな目標を立てていたのだ。
一方のC投手はプロ入り前、田舎町で野球一筋の生活を送っていた。中高時代もお洒落とは無縁の丸坊主頭で、厳しい練習の日々。他の高校生たちがお洒落や恋愛に彩られた青春を謳歌する中、C投手は男だらけの汗臭い社会の中で青春の欲望を抑圧し続けた。
その甲斐あってプロ入りを果たしたC投手だが、プロになったらなったで、練習がさらに厳しくなった。しかし、高校のころと大きく違うのは、球団の独身寮ながら大都会で暮らすようになったことと、18歳では考えられないような大金を手にしたことだ。
契約金6000万円、年俸600万円。しかも、1年目に2軍戦でそれなりの結果を残したことで年俸が少し上がり、3年目にようやく1軍昇格を果たすと、若干21歳にして年収1000万円。
寮暮らしのため、貯金が貯まる一方だ。
そして、初めて1軍選手として迎えたオフシーズン。年齢も20歳を超えたため、年俸1億円オーバーの名だたる主力選手たちに酒場に誘われる機会も増えた。すると不思議なことに、そういう酒席には必ず、名もないモデルやアイドルといった綺麗な女性たちがどこからともなく集まってきており、先輩選手たちと楽しそうな時間を過ごしていた。