これは不器用に生きる、あなた自身のラブストーリー…映画『生きてるだけで、愛。』
その3者の違いも興味深く、こんな人は嫌とか、共感できるけどしたくない、なんて気分にさせられたりも。
■一瞬でもわかり合えたと信じたい
時に過呼吸気味に話す寧子のセリフには、いくつもの名言があるのですが、その1つが「私は、私と別れることができない」です。
仕事、恋人、友達……たとえ全てを捨ててもつきまとう“自分”を持て余している人は少なくないでしょう。普段、そのことを忘れたふりをしながら過ごしている私たちだって苦しいのだから、自分でもコントロールできないほどのエネルギーを持つ“自分”と向き合い続ける寧子が「生きてるだけで、ほんと疲れる」のは当然かもしれません。
そして、満身創痍になりながらも「自分という存在」をわかってほしい、一瞬でも誰かとわかり合えたと思える瞬間を信じたい、とばかりにもがく寧子を、力の限り抱きしめたくなるのは津奈木だけではないはず。
――もう一生、誰にもわかってもらえなくてもいいから。(あなただけには)わかってほしい。私のことを。
そんな彼女の心の叫びが伝わるラストシーンの美しさは格別です。そこにあるのは真実の愛なのか、それとも……。
最後に、この映画に寄せられた漫画家・鳥飼茜さんの言葉をお届けします。