仕様の服だらけになった。大ぶりの花柄が全面にプリントされたTED BAKERのワンピース。デニム地を接ぎ合わせたmajeのロングスカートと、ドレープが美しいENFÖLDのフレアスカート。上海灘で誂えたシルクの立襟カクテルドレス。背中が全開のYohji Yamamotoのオールインワンと、samujiのマキシワンピース。色や柄や形が派手で、華やかで愉快で珍妙で、「出オチ」という感じのアイテムが手元にどんどん増えていく。
無難でつまらない普段着を10着揃えるくらいなら、攻めの姿勢で面白い服を1着買って、ずっとそれ着てテンションをブチ上げていたい。とはいえ我ながら、シラフで着るにはハードルが高く、リラックスというよりは緊張を強いられて、なかなか勇気が要るものばかりだ。
うっかりすると着る機会を逃すので、あの夜の及川光博を思い出しては自分を奮い立たせている。
よそゆきの服をおろすタイミングは、推しに会う日がふさわしい。最高のステージを観た、大きな賞のお祝いに行った、知人に紹介されて長年のファンですと告白したとき、それぞれの幸福な記憶が定着した服は、以後どんなときにも着るのをためらわなくなる。もともと好きで入手したものがオーラをたっぷり浴びて輝き、魔法を充填されて、なんだか「縁起がいい」