この愛に泣け!”共感度ゼロ”のふたりが辿り着く究極の愛―『彼女がその名を知らない鳥たち』- 古川ケイの「映画は、微笑む。」#26
唯一、十和子が眠りにつくまで陣治がマッサージを施す間は、ふたりの間に穏やかな空気が流れていた。だがある日、陣治が十和子の胸に手を伸ばしたことで、十和子の苛立ちは爆発する。
汚い言葉で陣治を罵る十和子だったが、陣治はそれに怒るでもなく、ただひたすら謝り続けるのだった。
「レンタルしたDVDが見られなかった」とレンタル店にクレームを入れたり、もう部品がない古い腕時計の修理を断られたデパートに苦情を入れ続ける十和子。
そんな十和子の家に、ある日修理できない時計の代わりに新しい商品を持参した、デパートの売り場主任・水島(松坂桃李)が訪れる。
水島に、8年前に別れたかつての恋人・黒崎(竹野内豊)の面影を感じた十和子は、彼の虜となり不倫関係をスタートさせてしまう。
それからほどなくして、十和子は家に訪ねてきた刑事の酒田から、結婚して「國枝」という姓になった黒崎が、5年前から失踪していることを告げられる。
付き合い始めたころ、うんざりするほど黒崎のことを聞いてきた陣治が、いつからか何も聞いてこなくなったことを思い出した十和子は、黒崎の失踪に陣治が関係しているのではないかと彼を疑い始め……?
◼︎ゲスな男を演じる松坂桃李にも注目!
既婚者でありながら、十和子との不倫関係をスタートさせてしまうゲスな男・水島を演じるのは松坂桃李(まつざか・とうり)