恋、嫉妬、結婚。狂おしいほどの愛の物語『ファントム・スレッド』 古川ケイの「映画は、微笑む。」#51
彼は、姉のシリル(レスリー・マンヴィル)とともに、郊外のアトリエ兼自宅で、日々上客たちのフィッテイングやデザインに明け暮れていた。
そんなある日、「近頃気持ちが不安定だ」と漏らしたレイノルズに、シリルは別荘で過ごすことを提案する。
別荘へ向かう途中に立ち寄ったレストランで、彼は背が高く素朴なウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)と出会うのだった。
アルマを夕食に誘ったレイノルズは、夕食後に別荘の仕立て部屋で、彼女の身体に仮縫いをしながら生地を合わせていく。
そこにやってきたシリルは、アルマに”レイノルズにとって、彼女(アルマ)が理想の身体の持ち主であること”を告げる。
レイノルズは、アルマをミューズとして自宅へと招き入れ、彼女の部屋を用意する。
豪華絢爛なドレスを着こなすアルマを褒め称え、魅惑的な美の世界へと誘い込むレイノルズ。しかし、やがて狂い始めるふたりの関係は、完璧で規律的だったレイノルズの日常を思わぬ方向へと進めていき……。
◼︎仕立て屋とミューズ、ふたりが辿り着く究極の愛の形
本作で注目したいのは、レイノルズとアルマ、ふたりの愛の軌跡です。