恋、嫉妬、結婚。狂おしいほどの愛の物語『ファントム・スレッド』 古川ケイの「映画は、微笑む。」#51
運命の恋に落ちた男女は、相手をどこまで自分のものにできるのか。
愛に屈し、自分を失うことは喜びか悲劇か。
ファッションにすべてを捧げるレイノルズの心に、恐るべき愛の力で入り込んでいくアルマ。彼女の存在は、レイノルズにとって一歩間違えれば毒にもなりかねない媚薬のよう。
恋、嫉妬、結婚……狂おしいほどの愛の物語は、想像し得ない境地へとたどり着きます。
「今年最も、意外な展開に驚かされたラブストーリー!!」(米ヴァニティ・フェア誌)と絶賛されたふたりの愛の結末は、大人の女性にこそぜひ味わってほしい驚きに満ちています。
◼︎オートクチュールの衣装も美しく
また、レイノルズが仕立てるドレスの美しさにも注目です。
レイノルズの顧客である、ベルギーの王女のウェディングドレスや、上流階級の女性たちがまとう優雅なドレスは、アンダーソン監督の全作品を手がけている衣装デザイナーであり、11年の『アーティスト』と本作でアカデミー衣装デザイン賞を受賞したマーク・ブリッジスとそのチームが手がけます。
ブリッジス率いる衣装チームは、1950年代の流行や各登場人物のバックグラウンドを綿密にリサーチし、50点もの衣装を仕立てあげました。