「ダサい服は着たくない」障がいのある人のファッションに光をあてる理由
もう、(店が)回らんわ」と言われました。業界のコスト削減の煽りをモロに受けてしまったんですよね。その後その工場は倒産して、連絡が取れなくなってしまった。
そのとき、私の中で糸が切れちゃったんです。こんな正直者がバカを見る世界、嫌だなって。それでポーンと会社を辞めてしまいました。
■たどり着いたのは“身体障がい者の方と共に着られる服”
——ご自身のブランドである「アラドナ」を立ち上げられたのは、どんなことがきっかけだったんですか?
他業界に転職しようと思ったんですけど、やっぱり経験がないからことごとく面接で落とされてしまって。貯金が千円もなくなって「あ、死ぬな」って思ったときに、もう一度自分にじっくり向き合ってみたんです。
そこで気づいたのは、私は決して洋服が嫌いになったわけじゃないということ。
自分の置かれた環境が許せなかったけど、小さい頃からあんなに大好きだった服を、結局は嫌いになれないということでした。だけど会社に戻る気にはなれない。それならつくってしまおう、と。
——貯金千円以下のところから会社を立ち上げるのは大変だったのでは?
まずは商社と契約をして、フリーデザイナーとしてデザインを売ることから始めました。