映画『天才作家の妻ー40年目の真実ー』感想。ノーベル賞の栄光に隠された愛と嘘とは
ふたりが大学で教授と学生という関係で出会い、情熱的な恋に落ちたこと。
すでに妻子がいたジョセフをジョーンが奪い取る形で結ばれたこと。
作家としては当時、二流だったジョセフが、ジョーンとの結婚後に次々と傑作を世に送り出してきたこと。
そしてナサニエルは、「あなたはうんざりしてるのでは?影として彼の伝説作りをすることに」と自信ありげに核心に迫る質問を投げかけます。
「すごい想像力ね。小説でも書いたら?」と切り返して立ち去るジョーンでしたが、心中は穏やかではありません。
実は若い頃から文学の才能に恵まれていたジョーンでしたが、(1960年代前半)出版業会に根づいた女性蔑視の風潮に失望し、作家になる夢を諦めた過去がありました。
そしてジョセフとの結婚後、常に控えめに寄り添いながら、夫の世界的作家としての成功への道を支え続けてきたのでした。
さらに追い打ちをかけるように、ナサニエルは息子のデビットにも近づいて両親の秘密を吹き込み、その後一波乱が起こります。
夫が栄光のスポットライトを浴びようとしている陰で、ジョーンは彼を愛していながらも、心の奥底に押しとどめていた怒りや不満の感情が沸き起こってくるのを抑えられなくなってきます。