今キテいる?! 江戸のポップアート「浮世絵」の大人女子的楽しみ方
一枚の浮世絵を通して
江戸の人々との対話を楽しみたい役者絵は、江戸市民のアイドルだった歌舞伎役者が描かれたもの。昔から市川団十郎は目が大きく、松本幸四郎は彫の深い顔立ちなど、今に続く名跡の顔や雰囲気が
似ている点を探しだすのが面白い。ほかにも愛らしい動物、恐ろしい妖怪、事件や風俗が描かれた浮世絵からは、江戸市民が何に興味を持ち、どんなことを楽しんだのかがわかります。
絵を通して彼らと対話している気分になってきます。
赤穂浪士の仇討は「仮名手本忠臣蔵」として歌舞伎や人形浄瑠璃で演じられ、その物語は江戸の人々を熱狂させました。この作品の役者絵は数多いのですが、役者を蛙に描き変えた奇才・
歌川国芳(うたがわくによし)の「蝦蟇手本ひやうきんぐら」は観ておきたい一枚。ユーモアセンスや批評眼に優れた国芳は、動物などを人に見立てた作品が多く、大の猫好きだったので猫の浮世絵が数多くあります。
歌川国芳「蝦蟇手本ひやうきんぐら(がまてほんひょうきんぐら)」 / 太田記念美術館
明治初期の作品ですが、
四代目・歌川国政(うたがわくにまさ)「しん板猫のそばや」は、猫が蕎麦屋で楽しむ様子を描いた浮世絵。
かけともりが八十文であること、膳の上で食べていること、当時の蕎麦屋が見える一枚ですね。
四代目歌川国政「しん板猫のそばや」/ 太田記念美術館
ご紹介した浮世絵ですが、雑誌や書籍ですでに観たことがある作品かもしれません。しかし絵の迫力、摺り色の妙、彫の細やかさ、は印刷物ではなかなか伝わりにくいもの。また浮世絵は退色もしやすいため、保存状態のいい本物の作品に触れて欲しいと思います。
今キテいる、江戸のポップアート“浮世絵”を観に行きませんか。
取材協力/
太田記念美術館
東京都渋谷区神宮前1-10-10
03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時30分~17時30分(入館は17時まで)
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp
一万四千枚の所蔵作品を持ち、常にオリジナリティの高い展示を仕掛けている太田記念美術館。大盗賊や悪女、侠客を題材にした「江戸の悪」展(2015/6/2~6/26)や「浮世絵の戦争画」(2015/7/1~7/26)が近日開催予定。
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