コロナ禍で休止されていたお祭りやイベントなども、今夏は多くが開催予定。3年ぶりの本格的なレジャーや旅行を楽しみにしているファミリーも多いのではないでしょうか。
しかし5月中から早くも猛暑日を記録するなど、今年も暑さ対策や熱中症対策は必須の模様。日本全国の“アツいまち”が主催するイベントに参加し、猛暑を楽しく乗り切るヒントを取材してきました!
■国内最高気温記録を持つ5都市がタッグ!
「アツいまちサミット」は、日本歴代最高気温の記録を持つ5都市(熊谷市・四万十市・多治見市・山形市・浜松市)がタッグを組み、2014年から開催されているイベント。各地域の住民・企業・学生が協力しあい、住みやすく誇れる街づくりを目指した取り組みが続けられています。
9回目を迎える今年のテーマは、
「100万人に届ける!わが街の暑さ対策」。総人口で約137万人を誇る5都市の皆さんに、まずは暑さ対策を根付かせ、来年からは全国に向けても発信していく予定とのこと。
熊谷市長による開幕宣言では
「暑いという言葉はネガティブな捉え方をされがちだが、暑さ対策をしながら『暑さを楽しむ視点』も持ってほしい」といったメッセージが送られました。
本イベントの取り組みは年々広がりを見せており、今年は東京理科大学と凸版印刷による最新の共同研究も発表されました。
環境や属性、運動量や服装などの条件によって、熱中症リスクは人それぞれ大きく違うそう。条件を細かく打ち込むことで深部体温を予測し、
オーダーメイドで熱中症リスクを算出できるアプリ、今夏、熊谷市と共に実証実験を実施するそうです。「熱中症の被害者をゼロにすること」が目標とのことで、一般リリースされたらぜひ使ってみたいアプリです。
さらに今夏はアツいまちをテーマに、駅ビルと人気漫画
「埼玉の女子高生ってどう思いますか?」と連動した謎解きキャンペーンも開催されるとのこと。原作ファンや各地域の方は要チェックです!
■5都市の暑さ対策アイデアを紹介。自由研究テーマにも!
【浜松市】サッカー王国&家康ゆかりの地。水分補給の大切さを80万人にPR!
5都市の中でも唯一の政令指定都市であり、人口も最多で80万人を誇る浜松市。昨年から参加した同市は、2020年に国内最高気温41.1度を記録したばかりのため、市民の認知度向上を目指した5つの取り組みを実施予定とのこと。
サッカー熱の高いサッカー王国として博物館や教育団体とも連携し、水分補給の大切さをアピールしていくほか、さまざまな業界の“アツい人”にスポットを当てた企画も。
そのほか、企業連携でのゴミ拾い活動や、市民が無料で受講できる
「熱中症アドバイザー養成講座」なども実施されています。
2022年はサッカーW杯開催もあり、市ゆかりの徳川家康を主役とした歴史ドラマが始まるなど、例年以上に浜松市にスポットが当たるアツい年になりそうです!
【四万十市】名産品「米ナス」をテーマに、40010人で挑戦!
高知県四万十市は「40010(しまんと)人で夏の暑さ対策」の実施を発表。同市は
水分と利尿作用を持つカリウムを多く含み、体を冷やす効果がある「米ナス」の露地作付面積日本一を誇ります。
6〜9月の間、小学校の給食で米ナス料理を提案したり、恒例の「ナスフェス」にて巨大米ナス釣りを実施し、米ナス風鈴や米ナス氷オブジェの展示をしたり、飲食店と連動したSNSキャンペーンを開催したり……と毎月多彩な取り組みが行われる予定とのことでした。米ナス商品の企画もスタートするほか、市民インタビューをもとに暑さ対策の調査をし、地域情報誌やYoutubeでも配信していくそうです。
【多治見市】老若男女から集めた「暑さ対策アイデア博覧会」を開催
昨年は熱中症予防に役立つ胸アツなドラマ
「#アツドラ」の制作配信が好評だった多治見市。今年のテーマは
「暑さ対策のみえる化で、アイディアを共有!〜暑さ対策博覧会〜」。日本有数の暑い街ながら<熱中症による死亡者数ゼロ>の記録を更新し続けているため、市民や事業者からアイデアを集めて発信していこう!という取り組みです。
小学生向けにもアイデアコンテストや暑さ対策イベントを開催するため、
「夏休みの自由研究にも役立ててほしい」とのこと。
市の総合情報マガジン
「A2」やYoutubeにて発信するほか、ケーブルテレビやラジオ媒体でも高齢者訪問などの取り組みを行い、独居世代の安全確保やコミュニケーション強化にもつなげていく予定だそうです。世代別に幅広い展開が考えられている点が印象的でした!
【山形市】水まんまコンテスト開催&クールスポットマップ制作
東北四大祭りの一つである
「山形花笠まつり」が3年ぶりに開催される山形市からは、学生メンバーらから3つの取り組みが紹介されました。まずは地元の名産である
「水まんまコンテスト」の実施。好評を得た昨年に続いて今年はレシピ集も作成し、全国に向けて発信を行うそうです。
もう一つは、山形の涼しい場所の情報を集めた
「クールスポットマップ」の制作。
白川湖の水没林など、山形の美しい自然を紹介されたMAPは、夏休みの旅行にも活用できそうですね。そして山形大学・下平ゼミでは「クールスポットで水まんまを食べよう」の情報発信を行っていくそうです。
【熊谷市】断熱性能の効果をアピール。小学生向けアイデアコンテストも!
「熱中症対応キット」の設置や「クーラーのサブスク事業」などの多彩な取り組みを行っている熊谷市からは、多彩な取り組みが紹介されました。たとえば、
移動式の体感型ショールーム「タイニーハウス」の制作。熱中症の40%は室内で起こるため、「住宅の断熱性能の有無でどれだけ体感温度が変わるか」を市民に体験してもらう取り組みです。
熊谷駅近くの星川通り沿いの店舗も断熱対策を施してショールーム化し、毎日条件を変えながら体感温度の測定実験を実施。エアコンの稼働量を減らせるような有効な断熱対策を検証していくとのこと。
さらに星川エリアでは、去年に引き続き
「星川グリーンカーテン事業」も拡大。今年はサスティナブルの観点から複数年利用できる土や、プランターの代わりに土に還る「麻袋」を利用し、小玉スイカやきゅうり、ミニトマトなどを栽培予定だそうです。
「小学生暑さ対策アイデアコンテスト」も実施されるため、お住まいの方は要注目! 熊谷市は今年、環境省の熱中症予防対策事業のモデル都市にも採択されており、専門分野の先生にも審査に加わるとのこと。
「小学生のやわらかい頭を使って自ら考えて行動してほしい」とのことでした!
■ 「茶殻リサイクル」も進化中!伊藤園のSDGsの取り組み
イベントでは「健康ミネラルむぎ茶」でもおなじみの伊藤園からも、気候変動の一因とされる環境面に配慮した取り組みが紹介されました。
毎年「アツいまちサミット」に参加し、5都市とともに啓蒙活動に取り組んでいる伊藤園。2030年までに
<リサイクル素材100%のペットボトルへの切り替え>を進めているほか、
<地域内での資源循環>を進めるため姫路市や仙台市とも連携した取り組みを推進。
そして大量に出る
「茶殻リサイクル」にも精力的に取り組んでいます。茶殻は粘り気があって強度が増すため、薄くて軽い緩衝材などのほか、建材や人工芝、紙製品から文房具まで幅広い商品に活用が広がっています。
今年は植物を育てる「むぎ茶殻入りプランター」を開発。熊谷市の小学校などでも活用してもらうほか、「健康ミネラルむぎ茶」のキャンペーンでもプレゼントする予定だとか。
ご家庭で植物を育てる予定の方はぜひチェックしてみてください!
■ 子どもは特に注意が必要!ミネラル補給と“点滴飲み”を心がけて
最後に、熊谷県出身の黒沢哲夫医師(千葉中央メディカルセンター)から、夏に知っておきたい以下3つのリスクとその対策について紹介されました。
・マスクをつけていると喉の渇きを感じにくく、体に熱がこもりがち
・気密性の高い住宅は夜でも室温が下がらず、室内や夜でも熱中症が起こりうる
・体温調整機能が未熟な乳幼児や、喉の渇きを自覚しにくい高齢者は特に注意が必要
蒸気を防ぐには水分補給が欠かせません。ただし一気飲みをすると体にうまく吸収されずに尿として排出されてしまうため、
「1時間にコップ1杯を目安にちょぼちょぼと飲む“点滴飲み”を心がけて」と注意喚起がされました。
水分だけでなくミネラルの補給も不可欠のため、暑さ対策飲料としては、
伊藤園の「健康ミネラルむぎ茶」を推奨。
『乳児用規格適用食品』であり、カフェインゼロ・無糖・カロリーゼロのため、乳児や子どもも含め、家族全員が安心して飲むことができます!
5都市は「空中スイカのグリーンカーテン事業」「暑さ対策レシピ事業」なども年々拡大させており、今後はいっそう全国に先駆けた発信を行っていくとのこと。値上がり続きの今年は、特に「電力代を抑えながら涼しく過ごす工夫」について、アツいまちに学びたいところです。家族皆でこまめな水分&ミネラル補給を心がけながら暑さ対策を行い、今年も猛暑を乗り切っていきましょう!
(取材・文/外山ゆひら)