2023年5月12日 11:10
5月病で疲れた心を軽くする。公認心理師が解説するディズニー/ピクサー作品の魅力とは?
大人になることに葛藤を感じているウェンディ。心理学では、子供から大人の境目にいることを【モラトリアム】と呼びます。このモラトリアムの時期には、現実から目を背けようとしたり、あるいは人の意見に引っ張られる、方向性が定まらなかったりするなどの葛藤を覚えながら、『自分とはどういう存在なのか』というアイデンティティを見つけていくことが大切だとされています。ネバーランドでの冒険やさまざまな人との関わりを通して成長していくウェンディの姿は、かつてモラトリアムを乗り越えてきた私たち大人の姿と重なるものがあると感じました。
作品の中でウェンディが『大人になるっていうのは、何よりも大きな冒険なのかもしれない』と言う場面があるのですが、これは子どもに限ったことではなく、大人にも言えることなのではないでしょうか。
大人になるということは、心身ともに自立することや、社会の規範にのっとって立派に生きていかなければならないといった暗黙の了解のようなものがあると思います。しかし、実際の大人ってそんなに完璧な存在ではないですよね。
大人になっても誰かを頼ったり甘えたい気持ちはあるし、型にはめられたくなかったり、白黒つけられない矛盾した行動や言動をしたりすることだってあるはず。