夏が犯した大きな過ち。板挟みの夏に降り注ぐ辛辣な言葉の嵐【海のはじまり11】
辛くなるなら水季の話しなくていいから。2人で頑張ろう。俺はいなくならないから」と海の心を支えようとするのです。しかしこれは大きな間違いだったのです。
■日常に水季を感じることで母と生きていた海
ある日、夏が帰宅すると自宅から海の姿が消えていました。家出した先は、海が信頼する一人、津野(池松壮亮)の働く図書館。
「ママがいた場所、いなくなっちゃった。夏くん、ママいないって言うの。
海もいないの分かってる。津野くんママいいたの分かるよね。夏くん分かんないみたい。水季はもういないから2人で頑張ろうって。水季の話しなくていいよって。ママのこと忘れた方がいいの?もういないから?」
ここまで自分の辛い理由と原因を洗い出して、言語化できる小1の賢さに震えます。
水季と過ごした図書館、家、そして水季をよく知る人々。これらに支えられて、海はあらゆる場所で水季を感じながら生きることができました。
祖母から水季の昔の話を聞いたり、水季が使っていた物と触れたり、日常に面影を感じることで、海は水季の死後も母と生きていたのです。
しかし、夏との暮らしは新しい小学校、図書館、家、水季の気配は全く感じられません。