新実課長はそういうのに屈しないタイプだと思ってました。」
声が震える。
だけど、泣き顔なんて見せたくない。
「信じていたのに、がっかりです」
負けるな、私。前を向け!
◆
ときめき……?
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骨折って手術をすれば、すぐに治ると思っていた。
術後は余裕だったリハビリも、だんだん辛くなってきた。
「痛たたたたた、痛いです」
「少し休みましょうか?」
「いえ、続けてください」
この前の理学療法士さんはドSだったけど、今日の人は優しい。
それでも相当な痛みに、さすがの私も涙目になってしまう。
「あ!北崎先生だ」
その時、手術着姿の大和がやって来た。
この総合病院はリハビリテーション室も併設されており、大和は退院した患者の様子を頻繁に見に来ているらしい。
大和の登場に、リハビリを受けている患者たちが一気に色めき立つ。
「先生、見て!膝の可動域がもうこんなに広がったの」
「お~すごいですね! リハビリを頑張っている証拠ですね」
「北崎先生、次こっち!こっちに来て」
「はい、すぐ行きます」
優しくて親切でいつもニコニコしている大和は、この病院ではちょっとした有名人。