くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第4話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第4話)

強制終了をくらってしまい、そのままリハビリテーション室から出される。

休憩コーナーの椅子に座って待っているよう私に言った大和は、少ししてから戻って来た。

「はい、これあげる」

「何?」

「ご褒美のアイス」

「私は子供か」

「要らないの?」

「何味?」

「しおちゃんが好きなチョコミント味」

「ちょうだい」

いつまで私の好きな味を覚えているのよ。

拗ねて構ってちゃんになってしまったみたいで、気恥ずかしい。

「しおちゃんはさ、十分頑張ってると思うよ」

「……」

「でも、基本的にせっかちだよね」

「知ってる」

「しおちゃんのそういうところすごく尊敬できるけど、同時に心配になるよ」

「大和……」

「だから、時には力を抜いて休んで欲しい。自分にためにも、近くで応援してる人のためにも」

言い聞かせるように、お願いするように。

優しい表情でそう言った大和は、私の唇に付いたアイスを親指で拭い「子供かよ」と笑った。

「……」

やっぱりおかしい。


だから、どうしてドキドキするの。

理想じゃない恋のはじめ方。第5話に続く…

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