それでも、向き合って欲しい」
「大和……」
真っすぐな告白に、再び胸がドキドキする。
「分かった、ちゃんと向き合う」
「ほんと?やった」
頷いた私に、大和は満面の笑みを見せた。
◆
もっと彼を知りたい
https://www.shutterstock.com/
「しおちゃん、ごま油ってある?」
「ごま油? そんなのないよ」
「えー、ないの?あれがないと味が決まらないんだよなぁ」
週末、私の家に来た大和が、お昼ご飯を作ってくれることになった。「じゃぁ、そこのスーパーで買ってくるね」
「待って、俺も一緒に行く」
そう言った大和はガスを止めて、上着を羽織る。
夜勤明けなのに、タフだなぁ。
大和と向き合うって決めてから、一緒に過ごす時間が圧倒的に増えた。
そうした中で、これまで知らなかった新たな一面を発見していく。
例えば――。
「しおちゃん、こっち」
誘導しながら、さり気なく手を繋ぐのが上手だったり。
「1人で先に行かないでよ、寂しいじゃん」
甘えん坊モード全開かと思ったら、
「危ないっ! 気を付けて歩きなよ」
急に男らしさを見せてきたり。
大和の言動に踊らされていると分かっていながら、案外それが嫌ではなく。