むしろ、もっともっと大和のことが知りたいと思うようになっている。
「やばい、財布にお金入ってなかった。しおちゃん~」
理想とは全然違うけど、それさえも楽しいと思えるなんて。
相手が大和だから、なのかな。
「ごま油を買いに来ただけなのに、あれこれ買っちゃったね」
「だって、しおちゃん家、調味料が乏しいんだもん」
「しょうがないでしょー、引っ越したばかりなんだから」
スーパーからの帰り道。
他愛ない話をしながら手を繋いで歩いていると、前方に見覚えのあるシルエットが現れた。
「(あれは……いやいや、まさかね)」
そう思おうとしたけど、まさかじゃなかった。
「汐里?」
私以上に、相手も驚いている。
「……新実さん」
◆
元カレからの……。
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翌日、新実さんからメールが届いた。
【今夜、会えないか?】
【会う必要はないと思います】
【俺の家にある汐里の私物を返したいんだが】
【それなら、宅配便で送ってください】
【20時に、アルフィルで待ってる】
全然、人の言うことを聞いてないし。昔からいつもそう……。