くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(最終話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(最終話)

北崎先生が担当なんだよ」

「そうなんだ」

頷きながら、大和の笑顔が頭の中に浮かぶ。たった1週間会ってないだけで、恋しくて仕方ない。

「おばあちゃんから聞いたけど、先生のおばあちゃんも大変なんだね」

「え?」

「おばあちゃんと同じ、転んで骨折しちゃったんでしょう」

「そうなの!?」

思わず大きな声が出る。大和のおばあちゃんって今はもう1人しかいないから、実家で同居してるおばあちゃんのことだよね。

全然知らなかった。どうして誰も教えてくれなかったの。いや、もしかして今朝、母が電話してきたのって、その件だった?

「北崎先生は他に何か言ってたか、おばあちゃんから聞いてない?」

「1週間くらい休むって」

「他には?」

「先生の元気がないって、おばあちゃんが言ってた」

あぁ、もう、私のバカ。大のおばあちゃん子だった大和のことだ、怪我をしたと聞いて不安だったはず。
そんな時、傍にいてあげなかったなんて……。

「れいなちゃん、ごめんね。私、もう行くね!」

「うん、バイバイ!」

れいなちゃんに手を振り、病院の正面入口へと走る。それからタクシーに飛び乗った私は、実家方面へと向かった。

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